ASTEプロジェクトについて
Updated on 2025-06-27
アタカマサブミリ波望遠鏡実験 概要
アタカマサブミリ波望遠鏡実験 (Atacama Submillimeter Telescope Experiment, ASTE = アステ) は、南米チリ北部、アタカマ砂漠の標高4860メートルの高地に設置された、南半球では初の直径10mクラスのサブミリ波望遠鏡です。ASTEは、波長0.1mmから1mmの電波(サブミリ波)によって、私たちの肉眼では見ることのできない暗黒の宇宙を観測します。このプロジェクトは、国立天文台、チリ大学をはじめ、東京大学、北海道大学、名古屋大学、慶応大学、大阪府立大学、茨城大学、上越教育大学などの国内研究機関と共同でおこなわれており、南半球において本格的なサブミリ波天文学を推進するとともに、 それを支える観測装置や観測手法の開発を実証することを目的としています。現在、波長0.87 mm (周波数350 GHz)での本格的なサブミリ波天体観測が行われています。世界各国の天文学者も多数観測におとずれ、ASTE望遠鏡のすぐれた観測性能は、非常に高く評価されています。
ASTEサイト
ASTE望遠鏡は、チリ北部のアタカマ砂漠、標高 4860 m の高地、パンパ・ラ・ボラ (Pampa la Bola)に位置しています。国立天文台をはじめとした世界各国のグループが、1994年からサブミリ波の観測条件を精力的に調査してきました。この結果、この場所が、大気の透過率のきわめて良好な世界屈指のサブミリ波観測サイトであることが知られるようになりました。現在では、ASTEサイトの南西およそ10 kmとほど近い場所に、アルマ望遠鏡(ALMA、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)が建設されています。
ASTE望遠鏡が見る宇宙
優れた観測性能とパンパ・ラ・ボラの卓越した観測条件を備えたASTE望遠鏡は、南天の観測により天文学や宇宙物理学のさまざまな分野において重要な役割を果たします。南天には、我々の天の川銀河の中心領域やマゼラン雲、そして天の川銀河のなかでも最も重い星のひとつであるりゅうこつ座イータ星 (Eta Carinae) など興味深い天体がたくさんあります。
ASTE望遠鏡を支える先進の装置
ASTE望遠鏡の10mアンテナは、長野県の国立天文台野辺山宇宙電波観測所での評価試験を経て、2002年3月に現在のサイトであるパンパ・ラ・ボラに移設されました。その後、サブミリ波観測を目指して、アンテナの性能向上の努力をつづけ、ASTEの10mアンテナは2秒角以内のすぐれた指向精度を実現しています。また、ホログラフィー測定という手法を用いて205枚の鏡面パネルを調整することで、アンテナ全体で誤差20ミクロン以下の超高精度の鏡面が完成しました。
望遠鏡・装置の概要(研究者向けのページへ)
アタカマサブミリ波望遠鏡実験 詳細
ASTEプロジェクトの沿革
- 1994年
- パンパ・ラ・ボラでのサイト調査開始。気象データの取得等をおこなう。
- 1999年
- ASTEチーム結成。
- 2000年
- ASTE望遠鏡を野辺山に設置。アンテナ鏡面精度などの測定作業をおこなう。
- 2001年
- ASTE望遠鏡の移設作業(野辺山からチリへ)を開始。
- 2002年
- ASTE望遠鏡をパンパ・ラ・ボラに設置。試験観測を開始。
- 2004年
- 本格的なサブミリ波(0.87 mm)分光観測を開始。
- 2007年
- 日本天文学会欧文誌(PASJ)にASTE特集記事を掲載、出版。
- 2007年
- 日米メキシコの共同研究による連続波観測を開始。
- 2010年
- ALMAバンド8評価試験モデルの科学運用を開始。
- 2011年
- テラヘルツ波受信機の試験搭載を実施。
- 2012年
- 新型多色連続波カメラの試験搭載を実施。
- 2017年
- 世界初のオンチップ超伝導分光器(DESHIMA)の試験搭載を実施。
ASTE望遠鏡を支える国立天文台職員
- 阪本成一 教授 (ASTEプロジェクト長)
- 鎌崎 剛 准教授
- 南谷哲宏 准教授
- 榎谷玲衣 特任准教授
- 藤井泰範 主任研究技師
- 西谷洋之 主任技術員
- 木挽俊彦 再雇用フルタイム職員
- Aguilera, Javier チリ採用職員
- ほか、計算機担当、安全担当、広報担当、事務担当など
